リゼッタ

手仕事のぬくもり

2017年2月27日
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流行にとらわれないモノ作りを続けているリゼッタでは、定番の洋服や小物は、一度売り切れても再び手がけて、長年に渡ってご紹介しています。

新しい物を追いかけて、売り切れたら終わりという事が当たり前のファッションの世界ですが、美しいモノは普遍的に価値が変わらない、という気持ちをこめてコツコツと同じものを紹介している事。リゼッタのそういう所が好きだなぁと(熟年夫婦が相手の良さにふと気がつくように!?)、あわあわとした嬉しい思いが胸に広がることがあります。

 

その定番の中で、ひとつ心配な商品がありました。

“ブローシュ・エーデルワイス”。水牛の角を手で彫って形作っているブローチです。

80代の職人が一人で作っているという話をデザイナーから聞いて以来、会った事もないおじいちゃんに思いを馳せ、元気でがんばってほしいな・・・次の入荷もありますように、と願っていました。

春コレクションがスタートすると同時に、在庫が薄くなっていた”ブローシュ・エーデルワイス”が再入荷してきました。

届いたブローチをみてみた所、なんだか今までと印象が違います。

以前のブローチは、1点1点の個体差が大きく、彫り跡がザクっと粗野な雰囲気。

前回入荷分の中から残っている唯一の1点

 

今回のブローチは、彫り跡の仕上げが柔らかく、真ん中の粒々がきっちりと揃っていて、個体差が少なく全体的にふっくらとしている印象です。

 

アトリエから、職人が変わったと連絡がありました。

“ブローシュ・エーデルワイス”を引き継いで作ってくれる職人が見つかったことに、ほっとすると同時に(といっても70歳のおじいちゃんとまたご高齢のようです・・・)、さみしい気持ちがこみ上げてきました。

おじいちゃん今までありがとうございました。お疲れ様です。

 

箱のデザインも左側から右側の箱に変わりました

 

手仕事のモノって不思議ですね。

どんなモノを作っていても、その人となりやその時の心模様がモノを形づくり、ぬくもりが宿る気がするのです。

ヒトが手作りしたモノに触れていると、心が優しくなるひと時を過ごせるように思います。

それは、洋服でも、絵でも、器でも、お菓子でも・・・

名のある職人がつくったような立派な工芸品ではないのですが、この季節お家には、谷中にある”いせ辰”の木版手摺りの千代紙と、群馬県の卯三郎こけしを飾っています。最近、寒さを理由に出不精で怠けぐせがついているのですが、それでもいいよ・・・と、こけしに許してもらっているような、心なごむお家時間。

 

次の季節はもうすぐそこ・・・長い冬の間に固くなった身体と心を少しでもゆるめて、優しい春をお迎えくださいね。